●北海道開発局が、吉田初三郎に依頼して、１９５３年（昭和２８年）に発行した、「北海道総合開発計画」を紹介する、きわめて珍しい広報資料。縦５３ｃｍ×横７４ｃｍの大判。北海道全域にわたり、５ヶ年計画で予定する大規模な開発事業が、「事業案内図」として明示されるとともに、見取り図として、「石狩川水系総合開発鳥瞰図」が添えられています。 ●晩年の初三郎は、北海道内の非常に多数の自治体から委嘱を受け、道内市町村の鳥瞰図折本を精力的に制作。そうした中、国の機関からの直接の鳥瞰図制作依頼に深い感銘を受けたらしく、“絵に添えてひとふで” の中で、「四十年来の画歴中、特筆すべき光栄」、「従来の観光本位を跳躍し、国家事業に直接貢献のよろこび、まことに感激禁じがたき次第」と添え書きしています。 ●しかしながら、しおりの中に描かれた開発鳥瞰図は、それまでの、道内市町村の緻密な鳥瞰図に比べ、作風が異なり、色づかいも単調。１９５３年当時、初三郎は体力の衰えが進んでおり、すでに単独では作品を描き切れず、多くを弟子の力に頼ったものと推測されます。 ●他の北海道内市町村鳥瞰図折本とは異質な、国の機関が依頼し、広報資料の意味合いを強く持った印刷物ですが、戦前／戦後作品を通して、初三郎の印刷鳥瞰図の中でもトップクラスといえるほど、きわめて珍しいもので、所有している機関や個人は全国でもほとんどいないはず。数少ない、現物を所蔵している「北海道立図書館」（江別市）では、膨大な北海道関係の資料をもつ「北方資料室」の中でも、特に貴重資料であるとして、「特別コレクション」に指定。書庫に収められ、一般の来館者には希望しても公開せず、学者や研究機関の関係者など、“正当な理由” がある人のみに閲覧を認めているありさま。 ●初三郎鳥瞰図をコレクションされている、すべての方にお譲りしたい、レア度満点の作品ですが、もちろん私のもとにあるのは、１部だけ。よろしくご検討、ご入札ください。過去ヤフオクへの出品履歴一切なし。本当は即決価格を設定し、高額で売り抜けたいところですが、皆様に「競売」本来の醍醐味を楽しんでいただこうと、今回もあえてスタート。十分な万一の補償がある「宅急便コンパクト」でお送りします。